コラム 中元(ちゅうげん)

 七月初めからお盆にかけて、お世話になった人に感謝の気持ちを込めてする贈り物。

 もともとは旧暦七月十五日のことを中元の佳節として祝った道教の習俗であった。したがって厳密には仏教用語ではないが、中国ではこの七月十五日は冥府の役人が死者の善悪を決定する日だという信仰があり、これが仏教の盂蘭盆や施餓鬼の行事と結びついて、江戸時代頃から贈り物をやりとりする習慣として一般に広まっていったようだ。

 一時、虚礼廃止などと言われたが、最近はあまり聞かなくなった。伝統の力の故か礼節を重んじる故か。また地方によってお盆の行事が新暦か旧暦かで、中元の贈答時期も違っていたが、この頃ではデパートなどの都合でか次第に早くなり、六月の内に送られてくることもあるようだ。