コラム 一蓮托生(いちれんたくしょう) 

 古い時代劇。追い詰められた悪党の決まり文句が「こうなりゃあ一蓮托生だ。みんな揃って冥土へ……」。

 一般には、最後まで運命を共にすることをいい、多くは悪いことを共にすることに使う。中世、浄土教の隆盛にともなって極楽の蓮の上に往生することを目指す風潮がでてきた。そして仲のよい夫婦や仲間、またこの世で結ばれない恋人同士が極楽の同じ蓮華の上に生まれ変わることを願ったのが「一蓮托生」である。

 まるで浄土教から始まったようだが、実は出典は法華経の薬王菩薩本地品で、「もし女人あってこの経(法華経)を聞いて説の如く修行せば、命終して(中略)蓮華の中の宝座の上に生ぜん」とある。一蓮托生のために大切なのは、まずこの世で法華経を信じ修行するということである。