コラム 竜(りゅう)
辰年もひと月が過ぎたが竜のお話しを。
西洋のドラゴンは悪竜で英雄に退治される話が多い。我々に馴染みがあるのは中国の竜で、大蛇に似た身体に八十一枚の鱗、二本の角、長い顔には耳があり雲を起こし雨を呼ぶ。
一方、仏教では仏法守護の天竜八部衆の一つとされている。インドではこの竜はナーガと呼ばれ、元々は蛇のことである。喉元に膨らみをもつとされるので、おそらくはコブラのことであろう。したがって経典にも出てくる竜王はコブラの中でも最大級のキング・コブラだと考えられる。
なお中国では、竜にも格があり、最上級の皇帝の竜は耳を持たない。皇帝は他人の言を聞く必要がないからだという。ただそれでは民の声を汲み上げることはできそうにないのでは、と気にかかる。