コラム 内証(ないしょう)

 一般には内緒と書き「内緒の話だが」などと、内密・秘密のこと指し、表向きにはしない内々のことをいうが、もとは仏教用語で内心の証(さとり)のことをいう。

 自身の心の内に真理を悟ることを内証といい、また他人に説明することができない内心の証をいう。この内証を秘めた言葉を密語という。これは仏が真実を裏に秘めて、衆生を真実へと導くための方便として示された言葉である。

 仏が説く真実の教えは、言葉では言い表すことができないものであるが、なんとか方便を用いて理解させようとされるのである。その言葉が密語である。仏の言葉は、その一語一語に甚深の意味が含まれているのである。内に秘めた奥深い言葉ということから秘密のことを「ないしょ」といい内緒と書くようになった。