コラム 天邪鬼(あまのじゃく)
人が右だと言えば、いいや左だと何事によらず、人の意見に逆らって片意地を通す、つむじまがりの者を、一般には天邪鬼と呼んでいる。
本来は毘沙門天の鎧の下部にある鬼面の名を言い、「海若」とも書き表し水神のことだという。またのちに毘沙門天が足下に踏みつけている二つの鬼を「耐薫」と称するようになり、さらに持国天・広目天・増長天や仁王(金剛力士)などの足下の鬼をも天邪鬼と呼ぶようになってきた。
仏教の世界観では、世界の中央に須弥山があり、その中腹で四方を守る四天王の内、北を守護するのが毘沙門天である。常に仏の道場を守り、近くにいて法を聞くところから「多聞天」とも呼ばれている。天邪鬼を踏みつけているのは仏法を邪魔する者を退治する姿を現している。