コラム 偈(げ)

 梵語(サンスクリット)のガーターを音写したもの。伽陀・偈陀とも音写する。訳して諷誦・諷頌、また偈頌などという。

 梵語経典の中に、仏の徳を賛嘆しまた教理を述べる韻律を持った詩句がみられる。またそれに準じて仏教の真理を詩の形で述べた文がみられる。漢訳するときも同様に、詩句の形で訳され、たとえば寿量品の中の自我偈、「此経難持」で始まる宝塔偈などはご存じの方も多いことだろう。本文とは異なり四字あるいは五字で表されており、読みやすく覚えやすい。本文の内容を要約し、大事な教説を簡潔に表現した偈もある。

 お経を習うとき、まず自我偈から始めるのが一般的で、なじみが深い。ただ和訳文は言語の違いの故、韻律を調えにくかったようである。