コラム 衣裏繋珠喩(一)

 続いて衣裏繋珠喩をみていきます。

 ある人が大変裕福な親友の家に遊びに行きました。その人はいつしか酔いつぶれ、眠ってしまいました。そのうち友達は出かけなくていけない時間になりましたが、その人と今度はいつ会えるかわからないので、友達は酔って眠っているその人の着物の

裏に、とても高価な宝珠をそっと縫い込んで出ていきました。やがてその人は眠りから覚め、あちこちの国を仕事を求めて歩き、大変な苦労をしました。

 ある日、その人が友達とばったりと再会し、「どうしたんだ、確か君が酒に酔って眠っている時に、僕は君の衣の裏に値千金の宝珠を縫いつけてあげたではないか」と言いました。その人が自分の衣の裏を見ると、確かに高価な宝珠が縫いつけてありました。