8月の法話 心の声を聴く/桑木 信弘
この季節になると土日の妙見山は、ハイキングなど遠方からもご家族で訪れる方が多くなります。
汗を拭きながら本殿まで参られ涼しげな風にお香の薫り漂う中、お寺の周囲に拡がる静かで緑豊かな景色にぼんやりと家族で見入っていらっしゃいます。
この辺りの余分なものが何も無い自然な環境が、都会に暮す人々にとっては非日常の空間である様です。
大阪市内で暮らし、ふとしたきっかけで妙見山に来たそうです。最近ではたびたび妙見山へ来られ開運殿にてご祈祷を受けられ、お経を唱えさせて頂く様になったご信者さま。
都会には人も音も、沢山の便利さもあります。予定の詰まった一日を、めくるめく時の流れに知らず知らずうつ向きながら過ごして疲れていく身と心。
「ここへ来ると自然と心を通わせられて、どこか懐かしい満ち足りた気持ちになるんです。」
青く拡がる空に、白い雲がゆったりと動いていく。風の音、木々の枝と葉がカサカサと鳴る音、鳥たちや虫の声を耳で、そして肌で感じ聴き入るひと時。
尽きぬ悩みが消える事はない、でも包み込むような自然との触れ合いで、心の扉がゆったりと開いてあるがままに自分を受け入れるゆとりが出来るのだそうです。
「聴く」とは、耳に十四の心を持つことだと言われております。
相手を説き伏せるのでなく、心から耳を傾け聴いてあげると、その人の深い心の声を聴く事が出来ます。
日蓮聖人は法華初心成仏鈔で、「籠の中の鳥鳴けば空飛ぶ鳥の集まりが如し、空飛ぶ鳥の集まれば籠の中の鳥も出んとするが如し、口に妙法を呼び奉れば我が身の仏性もあらわれ給う」と仰られています。
ご先祖様がお帰りになられ、どこか懐かしさも感じられるお盆の季節、南無妙法蓮華経とお唱えして自分の心と向き合い、ご先祖様の心の声に耳を傾け、心を通わせる為、妙見山へ参られてはいかがでしょうか。