12月の法話 大掃除/詠裡庵
一年は速いものです。もう、十二月になりました
お正月を、より気持ち良く迎えられるようにと、大掃除をします。お寺にお参りして、今年一年の間に積もった埃を払いました。
窓を拭いて、柱を拭いて、床を拭いていきます。
時として、ちょっと変わった大掃除になることもあります。
クモがおりてきたり、カメムシが飛んできたりと、山の中にあるお堂は、お参りにきた人ばかりでなく、
小動物もやってきて、騒がせてくれるからです。
少し前のことです。カメムシがゆがんだままの状態に取り付けられた、アルミサッシの窓枠と、
アルミサッシとの間にできた空間にたくさ ん着いていたことがありました。
追っても追っても飛んで来ました。お堂の中を、丹念に見ていても解りません。
少しずつ外に向かっていくと、アルミサッシの枠が元でした。
同じ色で、同化していて全く解りませんでした。
その時はテーブルセンターの下にも、ちょっとめくれたところから入ったのか、カーペットの下にもいました。
宝探しなら楽しいのですが。
直接冷風の当たらないところを選んで、越冬するようです。
カメムシと知恵比べをしているようでした。
さてお堂の大掃除が終わりすっきりしたところで、今度は心の掃除です。御宝前に向かって気持ちを改めて座りました。
今年一年、無事に過ごすことができたことへの御礼と、
来年も、大きな災害にも遭わず、無事に過ごすことができますようにとお願いをしました。
周囲もそして自分の身も心もすっきりとして、部屋へ戻ってきました。
日が短くなったなと思いながら、明かりをつけると、やっぱり飛んできました。カメムシです。
よほど数が多いのか、たくましい生命力なのか、驚くばかり。
何があってもおそれることなく、精一杯に生きる。今の世を生きる私たちに、なんだかエールを送ってくれているように感じます。
残る今年を悔いなく、そして来るべき来年をよりよく生きよう!そんな思いがしました。