4月の法話 満開に/植田観龍

 3月に入って暖かい日が続き桜の開花が例年よりも早く、私の自坊のここ京都でも綺麗な桜を楽しむためにたくさんの方であふれています。

 数日前のことです。仕事の帰りで高速道路のサービスエリアにて休憩しようとした時のこと、『ピーッピーッピーッ…ガシャン』鈍い音と同時に衝撃が伝わりました。

 バックで駐車しようとしたところ、勢い余って後ろの車にぶつけてしまったのです。軽い接触で済み、また相手の方に怪我が無かったのが不幸中の幸いでしたが・・・。

 その日は天気のよい日曜日。京都へ向かう車が多く道は混んでおりイライラしながら運転していた為、注意が散漫になってしまいました。情けない話です。

 最近の自動車はバックする時に後方バンパーに付いている障害物を察知するセンサーが働き、人や物や壁などに近づくと運転手に知らせる機能があります。とはいっても補助機能ですからもちろん自分で確認する必要はあります。

 私はその機能を過信してしまい、その結果が冒頭のできごとになったのです。

 ともすれば私達は日々の信仰においても同じ事が言えると思います。 『毎日神さんや仏さんにお参りしてんのに、こんな結果になった。よくならへんかった』と感じることは無いでしょうか。仏様はいつもそばで見守っていて下さっています。しかしその安心感からなにもかも任せっきりにしてしまってはどうでしょう。おんぶにだっこではいけません。

 今回の話にしても交通安全の御祈祷をしたからもう大丈夫だ。と言うのではなく自分自身が安全運転を心がける必要があります。

 今回、仏様からもっとしっかりと地に足をつけなさいとお叱りを受けたような気がします。

 仏様の懐に飛び込み、日蓮聖人のお題目の掛け声に合わせて私達の中に綺麗な桜の花を咲かせましょう。

 そして一年中その桜を満開にしたいものです。