8月の法話 この夏は/小林謙照


 「おいしい!」子ども達の声で夏の暑さも吹き飛んだ。私は気が向いたときにカレーを作るのだが、今回は子ども達も特に気に入ってくれたようだ。

 以前は大人用と子ども用(甘い)を作り分けていたのだが、いつのまにか大人と一緒の味を楽しんでいる。子どもの成長は早い。

 日本のカレーはインドのスパイスがイギリスで肉と野菜の煮込み(シチュー)と出会い、両者が合体してできたと言われている。

 スパイスには、肝臓・胃腸の働きを良くしたり、疲労回復、風邪・肥満・二日酔い・冷え性・肩凝り予防などさまざまな健康効果があり、シチューは言わずもがな肉や野菜の栄養がたっぷり入っているので、まさに最強タッグである。

 カレーはインド発祥とあって、お釈迦様とも関係が深い。なんと、「カレー語源釈迦説」があるのだ。

 その説によると、青年時代の釈迦が山篭りの修業中木の根や草の実を食べて飢えをしのいだ。その後、カレという地に下山し、そこで教えを説いた際、たくさんの木の実(スパイス)を民衆に与えた。民衆はこれらのスパイスを料理や薬用として使うようになり、その土地の名にちなんでカレーと名付けた、とする説。

 またその時、民衆が叫んだ“おいしい”という意味の「クーリー、クーリー」に由来するという説まである。これを知った時、お釈迦様にますます親近感をもったのは言うまでもない。

 ところで、自分が作った食事を子ども達が美味しそうに食べている姿は、とても嬉しい。どうすれば子ども達に美味しく食べてもらえるか、何度も試行錯誤を繰り返し、我が家のこだわりカレーが完成した。

 お釈迦様も、どうやって我々に分かりやすく法を説くか試行錯誤し、出来上がったのが法華経である。

 美味しさと栄養の凝縮されたのがカレー。お釈迦様の教えのエッセンスが法華経。カレーと法華経をいただき、暑さに負けない身体と心を作って夏を乗り切ろう。合掌。