9月の法話 ほどほどのほど/小林謙照

 暑くなってきたら食べたくなるものといえば、アイスクリーム、かき氷、シャーベットなどの氷菓子がありますね。

 一口に氷菓子といっても歴史は古く約三千年前にも遡り、古代ギリシャ・ローマではとされ、疲れた体を癒す健康食品として食されていたそうです。

 健康食品と聞くと、つい沢山食べたくなってしまいますが、食べ過ぎるとお腹が痛くなったり、下してしまったり、さらには夏バテの原因になったりとまったく逆効果です。

 小学生の時、林間学校の夕食を班ごとに自分たちで作ることになりました。メニューは定番の「カレー」(食品メーカーが日々研究を重ねている)ルーのおかげで出来栄えは上々。当時大食いを自負していた私はここぞとばかりにおかわりを連発しました。結果はあえて書きませんが皆様が想像している通りの事態が起きました。おかげで楽しい夕食は興醒め。先生にも同級生にも多大なるご迷惑をおかけしました。

 食事のことだけでなく人生のあらゆる場面で適切な判断をしたいものです。

 仏様の教えに「中道」という教えがあります。ありとあらゆる苦行・断食の末に「苦行は無意味だ、そして贅沢も無意味だ。苦行にも快楽にも偏らず、執着を離れ、正しい判断をし行動するのだ。」という考えに辿り着きます。

 この「極端に偏らず、適切に対応する」というのが中道です。

 文字で読むとなるほどそうか!と思いますが、実践するとなると簡単にはいきません。

 無料だからといって、2段のアイスクリームを3段重ねにしてみたり、お腹いっぱいなのにラーメンの替え玉を頼んだり。結局食事のことばかりですが、、、

 世の中は誘惑で溢れています。お釈迦様が説いて下さった中道に習い、大盛りのかき氷か、普通盛りのシャーベットか、はたまた上品な盛りのアイスクリームか。適切なものを選んで、残暑を乗り切りましょう。