10月の法話 四劫を出でたる常住の浄土なり/日 慧
地震、台風、豪雨。それに伴う土砂災害など、被害に遭われました方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様には一日も早い復興をお祈り申し上げます。
この近年、驚異的な自然災害が次々に起こっているようです。当山でも土砂崩れや倒木が見られました。また警報なども毎日のように発令され、いい加減にしてくれと言いたくなる中、この先地球はどうなっていくのだろうとの不安をさえ感じるほどです。
古生物学者によると、多数の生物が同時期に滅びる現象を「大量絶滅」と呼ぶそうです。地球の歴史の中で、大量絶滅は少なくとも十一回は起こったと言います。その原因は様々で、気候の変動もその一つではないかと言われているのは不気味な気がします。
仏教の世界観には、四劫(しこう)という概念があります。劫とは、未来永(えい)劫(ごう)という言葉があるように、大変長い時間の単位を表しています。この宇宙・世界の成立する期間を成劫(じようこう)といい、成立した世界が存続する期間を住劫。形あるものはいつか滅していく、その壊滅に到る期間を壊劫(えこう)。そして次の世界が成立するまでの何もない期間を空劫と言います。
この世が壊滅するなんて恐ろしいことですが、新たなものが生まれるためには一度全てがなくならなくてはならないと言うのは、道理として当然のことではあります。でも自分がいるうちはそんなことにはなって欲しくないというのが誰もの思いです。
その思いに応えて下さるのが法華経の教えです。法華経寿量品には「我がこの土は安穏にして天・人常に充満せり」と、仏は私たち衆生をして必ずや安穏な世界へと導き入れると約束されています。日蓮聖人はこれを受けて、その仏の世界とは「四劫を出でたる(壊滅することのない)常住の浄土なり」と説かれます。
法華経お題目に身を委ねて、世界中の人々が力を合わせれば、必ずや災害をも乗り越え常住の浄土が実現できると信じます。